mirumom シムズ3

シムズ3での自作ポーズによるストーリー創作とプレイレビュー・ポーズ配布等

20.秋風

Category: ストーリー > アスモデウスの翼   Tagged: シムズ3ストーリー  
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グレンさんもジュールさんも帰らなかった翌朝、私は思い立ったその足で散歩に出た。



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海に囲まれたこの島は、街外れまで来ると気持ちよい潮風を感じる事ができて
モヤモヤした気持ちも晴らしてくれるかのよう。



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何故モヤモヤするんだろう・・・・・。その答えはきっと分かってる。
この町で一人で頑張っていこうと決めていたのに、思いがけずグレンさんとジュールさんと共に過ごすようになり、
それに慣れてきてしまって一人で居る時間を持て余すようになったから。
私は二人に依存してしまっている・・・


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「寒くなったな・・・。」
私はそれでいいのだろうか?



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また一人になった時、私はちゃんとやっていけるんだろうか・・・・・


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ふと見上げると、暖を取っていた店の外に人影が見えた。


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『絵・・・を描いてるのかし・・・ら?』
”絵”・・・か。学生の頃、メグと共に習っていた。描くのは好きだった。
何もかも決められた生活の中で、絵を描く事が自分を表現できる手段だったから。


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そんな事を思い出したら描かれている絵を見たくなってしまった。


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船を描いているのかしら・・・?


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潮風に乗る油絵の具の匂いが鼻をくすぐる。ああ・・・懐かしい匂い。



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「・・・・・・。」


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「・・・・・何?」


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「君、何か用かな?」
「え・・・・・・・・」


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「え、あ・・・ごめんなさい!ただその・・・絵を描かれているのを・・・見ていただけで・・・・・」
いけない!失礼だったわ私・・・!


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「・・・絵に興味があるのか?」
「え・・・ええ、昔少し習っていたので懐かしくて・・・その・・失礼してすみませんでした。」


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「ふうん・・・。まあ別に構わない。邪魔はしないでくれよな。」
「え・・・ええ。」


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そう言うと、その人は再びキャンバスへと向かいまた絵を描き続けた。


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『とても真剣・・・。』
自分が夢中になれる何かがあるって素敵だと思う。今の私にはそんなものなど何も無い。
いや・・・これまでだって何一つ無かった。


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私ももう一度絵を描いてみようかな。一人の時間を持て余すよりは余程いい。
今の私には・・・・・何が描けるんだろう。



そんな事に想いを馳せながら帰宅の徒に着いた。
やはり家でじっとしているよりも、こうして外を歩いた方が新しい何かと出会えるのだと少し嬉しくなった。



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「それにしても、随分冷えるようになったわね・・・。この家、冬・・・大丈夫なのかしら・・・」


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「お、ただいまメロ。何してたの?」
「あ、お帰りなさいジュールさん。んー、散歩して帰ってきたところですよ。」
「散ぽ・・・・っ・・」


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「ックシュンッ!!!」


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「ジュールさん?風邪ですか?!・・・大丈夫ですか???」
「ん~・・・大丈夫。ちょっと寝不足なのと急に冷えてきたから体がビックリしてるだけだよ。」
「そうですか・・・?」


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「って事で俺寝るわ。あんたご飯大丈夫だよね?何かあったら起こしなよ?」
「ええ、大丈夫ですよ。ゆっくり休んで下さいね。」
ジュールさんのお陰で、私の料理も食べれるくらいには成長していた。

・・・ジュールさんは色も白くて小柄で・・・体弱そう・・・。
風邪ひかなければいいけど。






そしてグレンさんと私の働くお店の改装も終わり、また私達は仕事を再開する事になった。

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グレンさんはマスターから譲ってもらったバイクで出勤するようになった。
私はまだ自転車で通っている。



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「よぉマスター!久しぶりっす。またよろしく頼みます。」
「あらグレン・・・早いじゃない。」


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「・・・ところで、改装ってどっか変わったか?」
「んまっ!変わったのよ!・・・見えないあっちこっちにガタがきてて、全部メンテしたんだからねっ!
 それにほら、壁だって・・・変わったんだからっ!」


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「・・・・・へぇ~・・・・・。そう?」
「あんたね・・・」


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「それよりグレン、ちょっと・・・話あるんだけどいい?座ってちょうだい。」

「・・・・・ああわかった。」




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「で?なんすか?」
「う・・・ん、・・・・・」

マスターが言い淀むという事は、俺にとってありがたい話ではないと言う事だろう。
付き合いの長いマスターの考える事は、割と簡単に分かってしまうもんだ・・・が、どう来るか。


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「ほら・・・前にあんたが代理で演奏したバンド、覚えてるでしょ?・・・その時にあんたの演奏を聴いた
 バンドの事務所関係者があんたのギターを気に入ったんだって。」

この人はまた・・・

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「ねえ・・解るでしょ?これがどんなに光栄な事か!・・・それであんたの演奏をもう一度聴いてみたいんだって!
 勿論上手くいけばその先もあるって事よ?分かるでしょう?!!」

そんな話を・・・


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「まったく・・・どいつもこいつもしつけぇなぁ。またその話かよマスター?」



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「グレンあんたね!いい加減そうやって逃げてないで、自分の今後について考えてもいい時期じゃないの?!!!」

この子のギターに対するいつも逃げ腰な態度には、いい加減アタシも我慢の限界だった。
だって・・・グレンはギターが好きなはず。アタシは分かってる。
親友だった男の息子であるグレンには、ちゃんと自分の歩む道を見つけて欲しいと願ってる。



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「はぁ~・・・・・。参ったな。分かったよ、ちゃんと話すから・・・さ。」

いい加減、『嫌だ嫌だ』と言ってるだけじゃ埒が明かないような気がしてきた。


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「マスター・・・俺はさ、確かにギターを弾くのは嫌いな訳じゃないさ・・・・・」
「グレ・・・」


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「むしろ・・・好きだよ。弾くのも聴くのも。そりゃそうだろ?ガキの頃ずっと親父の姿に憧れて、
 いつか俺も親父みたいに・・・って思っていたんだから・・・。」
「グレン!そうでしょ?!だからっ・・・だったら!・・・」
「マスター。」


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「だけど俺は弾きたくねえんだよ。」


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「弾きたくねえんだ。今は。」

弾きたかったらとっくに弾いてるさ。


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「そんな俺がギター握ったって・・・本当に心に響く音なんて出せねぇだろ。そんなんで弾くなんて俺自身も嫌だしな。」



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「だってグレン・・・。あんたはギターが好きで弾くのも好きで・・・それを求める人が居るなら
 それを仕事にできたら最高だって思わないの?!そりゃ・・・あんたも過去に色んな想いはあるだろうけど・・」


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「俺はさ・・・・・   ギターを握ると思い出しちまうんだよ。 ・・・親父が弾いてた姿。
 ・・・・・そんな親父が大好きだった自分。いつも優しい目で見守っていたお袋の事を。」



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「だけど、親父は死んだ。好きなギターばかり弾いて何も残さずに。 
 ・・・残されたお袋は弱い体で俺を養う為に働き・・・満足に医者にもかかれず死んだ。 
 ・・・嫌なんだよ、思い出すのも俺がそうなるのも。
 親父の背中しか見てなかった俺は、きっとギターを握れば親父と同じになるに決まってる。」

そうだ、だから俺はギターを握らない。
好きな事に夢中になり、大切な物を失うくらいなら初めからやらなければいい。
金を稼ぐだけなら別にギターじゃなくたっていい。



こんなのも、ただの言い訳だって分かってるさ。

でも嫌なんだよ。 何かあった時に、全てをギターのせいに、親父のせいにしてしまいそうで・・・

怖いんだ。


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「グレン・・・・・」

マルクの事、母親の事が未だに辛いのは分かっていたつもりだったけど・・・これ程までにあんたは・・・


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「だからマスター、わりぃけど俺にギターの話をするのはもう・・・やめてくれ。
 弾きたくないから弾かない。それだけの事さ。」


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「それに俺、この店のバーテンの仕事 結構気に入ってるぜ?だから気にすんなよ?いや、
 これからも使ってやってくれよな。」


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「真面目にやりゃあ、バーテンだって立派な仕事だろう?なぁ?」


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「ふぅ・・・グレン、そんなの水商売やってるアタシに聞くまでもないでしょうが・・・。
 分かった、分かったわよあんたの気持ちは!・・・これからもよろしく頼むわね。」

グレンの本心を聞かされたならもう、・・・これ以上は言える訳がないじゃない。
でも・・・アタシは”いつか”を期待してる。
だってこの子は本当にギターが好きなの。それは隠したってアタシには分かる。

ね?それでいいでしょう? マルク。。。







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秋の気配を益々感じるようになったこの頃、ほぼ日課となった散歩も景色を眺めるのが心地良い。
四季の移り変わりは、心を和ませ刺激を与え、新しい何かへと導いてくれる気さえする。


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良く晴れた早朝、私は街外れの灯台まで足を伸ばした。
この町へ飛行機で降り立つ時に、窓からこの灯台を眺めた事を覚えてる。
あの時はまだ、まるで雲の上を歩いているかのような地に足の着かない心地だったけど、
今はこうしてしっかり歩いてる。

時の経過は人を変えてくれるのだろうか。私は変わった?
私は変わっていいの?

その答えはまだ見つからないけれど・・・・・。


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『・・・?こんな早くにこんな場所に・・・人・・・?』


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『もしかして』という予感で私は戸惑いながらも歩を進めた。


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・・・この人は、やはり先日の・・・・・



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「あの・・・・・」
「・・・!」


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「・・・君は・・・先日の君か。何故ここに居るんだ?・・・また邪魔しに来たのか?」
「いえっ・・・あの散歩です。・・・お邪魔ですか・・・?またまたすみません。」


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「いやすまない、別に邪魔だとは思っていない。君は散歩が好きらしいな。狭い町だ。あちこち歩いていれば
 まあ遭遇確立は上がって当然だろうな。」
「あの・・・あなたは画家さんですか?」
「いや違う。」
「そうですか・・・。」

なんだ、画家さんじゃなかったんだ。それにしては随分真剣に絵を描いてらっしゃるのね。
二度会ったら何だか以前からの知り合いのような気がして、気が緩んでしまう。
いけない。これじゃあグレンさんにまた「あんたバカか?」って言われそう!

彼の邪魔をしないように、私は帰路に着いた。




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「・・・・・・・・・・」
なんだかつまらない。何もする気が起きない。


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”仕事”もここ暫く行ってない。行きたくないんだからしょうがない。
だけど、グレンとメロの仕事が再開して、俺は一体何して時間を潰せばいい?

おかしいね。前は基本一人でいつも居たのにさ。
あいつらがこの家に居ないと静か過ぎてつまらなく感じてしまう。
だからといって”客”と過ごす気にもなれない。

・・・・・重症だね。
そろそろ母さんの様子でも見に行くか・・・


RRRRR RRRRR RRRRR

こんな時に限ってやたらと呼び出しが掛かるとか・・・メンドクサイ。


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・・・ちっ   あのオバサンかよ・・・


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「もしもし?・・・ああ久しぶりだね。うん、元気だよ?・・最近ちょっと忙しくてさ・・・」
『ジュール、あなた全然顔を出さないじゃない?ちょっと酷いんじゃなくて?何か楽しい事でも見つけたのかしら・・・
 どう?これからこっちへいらっしゃい。たまにはあなたの顔を見て話がしたいわ。』

話 ねぇ・・・


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「悪いけどさ、そう俺今楽しい事見つけたんだよね。あんたの所に居た時も楽しかったけど、
 今はまた違った楽しい生活を送ってんの。 だからさ、もう俺の事は放っておいてくんない?
 今までの事は感謝してるよ。」

いずれにせよ、この変態夫婦とはもう係わらない方がいい気がした。


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『・・・・・・・・・・・。ふうん、そうなのね?そう・・・。まあいいわ。でも残念ながらそうもいかないかも
 しれないわよ?ジュール。私はあなたを気に入ってるの。うふふふ・・・
 また会える日を楽しみに待ってるわね。それじゃ・・・』
「は・・・?」


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「・・・・・・・・・」
何だっていうんだ。俺はもうあんたらの与えてくれる”輝き”じゃ満足できないんだよ。わかんねぇのかね。
まあ所詮金持ち連中には分からない事だってあるって事さ。


俺は俺が本当に欲しい物を追い求めてみようって決めたんだ。


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テーマ : The Sims3    ジャンル : ゲーム

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